マシカクイ 隠岐諸島新産の植物 (6)
郷土誌 『隠岐の文化財』 第30号(2013年)に掲載。
油井地区の休耕田のものは案の定消滅した。他に津井地区で1ヶ所見付けたので,現状確認は計3地点。
シカクイは歌木地区で確認して計2ヶ所。マシカクイは山地・シカクイは人里,の感じである。
なお,両者の区別点は “柱基の長さ” が決定的で分かり易い!
・マシカクイ: 痩果の約1/2長
・シカクイ: 痩果とほぼ同長
⇒ [PDFファイル]
油井地区の休耕田のものは案の定消滅した。他に津井地区で1ヶ所見付けたので,現状確認は計3地点。
シカクイは歌木地区で確認して計2ヶ所。マシカクイは山地・シカクイは人里,の感じである。
なお,両者の区別点は “柱基の長さ” が決定的で分かり易い!
・マシカクイ: 痩果の約1/2長
・シカクイ: 痩果とほぼ同長
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T: テンツキ vs. K: クロテンツキ
クロテンツキ Fimbristylis diphylloides を少し丁寧に観察したので,よく似ているテンツキ(狭義)F. dichotoma var. tentsuki との対照表を作った。
「花柱]
T: 扁平で,縁毛がある。
K: 細く,縁毛がない。
[葉]
T: 葉には全て葉身がある。葉鞘のみからなる葉はない。
K: 無葉身で鞘のみの葉がある。有花茎基部に,短く長さ2cm弱。
[毛]
T: 全体(葉・茎・花序)に微毛がある。量には個体差があるが,鞘は通常有毛。
K: 無毛。
[小穂]
T: 狭卵形で長さ5~8mm。鋭頭で細長い感じ。赤褐色で光沢がある。
K: 卵形で長さ約4mm。鈍頭で短く丸っこい。やや暗褐色を帯びる。
[苞]
T: 1枚は花序より長いのがある。
K: 皆(4~8枚)が花序より遙かに短く目立たない。
「花柱]
T: 扁平で,縁毛がある。
K: 細く,縁毛がない。
[葉]
T: 葉には全て葉身がある。葉鞘のみからなる葉はない。
K: 無葉身で鞘のみの葉がある。有花茎基部に,短く長さ2cm弱。
[毛]
T: 全体(葉・茎・花序)に微毛がある。量には個体差があるが,鞘は通常有毛。
K: 無毛。
[小穂]
T: 狭卵形で長さ5~8mm。鋭頭で細長い感じ。赤褐色で光沢がある。
K: 卵形で長さ約4mm。鈍頭で短く丸っこい。やや暗褐色を帯びる。
[苞]
T: 1枚は花序より長いのがある。
K: 皆(4~8枚)が花序より遙かに短く目立たない。
隠岐諸島産 スゲ属 チェックリスト
スゲの一覧リストであるが,あまり意味がないかもしれない。残念ながら地元でスゲを調べてる人はいないようだ…。確認数は 46種,多いのか少ないのか?
[確認]
✓: 採集・同定済み, □: 要探索。
[図]
『日本産スゲ属植物分布図集(すげの会 2018)』に隠岐のプロットあり。
[量]
隠岐島内での分布程度を 3段階にわけて示す。
[採集者・産地]
OKA: 岡 国夫
OKM: 岡本 香
SGM: 杦村 喜則
HSN: 星野 卓二
《 》 : 筆者自身
⇒ [PDFファイル]
[確認]
✓: 採集・同定済み, □: 要探索。
[図]
『日本産スゲ属植物分布図集(すげの会 2018)』に隠岐のプロットあり。
[量]
隠岐島内での分布程度を 3段階にわけて示す。
[採集者・産地]
OKA: 岡 国夫
OKM: 岡本 香
SGM: 杦村 喜則
HSN: 星野 卓二
《 》 : 筆者自身
⇒ [PDFファイル]
クロハリイ Eleocharis kamtschatica f. reduca の分布
塩性湿地生とされるクロハリイを確認した。母種であるヒメハリイ(ヒメヌマハリイ)
E. kamtschatica の “和名” をクロハリイとしている文献もある。
全国的な希産種と思われたので分布を調べてみた。ひと言で言えば,分布の中心
は “東海地方以東~北海道” 。西日本の記録は無きに等しい。
● : レッドリスト種
◎ : 稀・少
○ : 記録がある
? : 不明
× : 記録なし(絶滅を含める)
(註) 記録がヒメハリイ E. kamtschatica のみの場合は,それぞれ▲,△とした。
北海道: ○
青森: ◎,秋田: ●,山形: △,岩手: △,宮城: ○,福島: ◎
・・・分布が北に偏るが,東北地方にも多いわけではない。青森・山形・福島県
では “稀” となっていた。産地が多く挙がっていたのは,北海道と宮城県のみ。
新潟: ○,富山: ×,石川: ▲,福井: ▲
・・・新潟県は佐渡の標本。石川県:Ⅰ類,福井県:Ⅱ類。
群馬: ◎,栃木: ◎,茨城: ◎,千葉: ●,東京: ×,埼玉: ×,神奈川: ×
・・・東京都・神奈川県は絶滅。栃木県は「移入種?」となっている。群馬県同様,
海の無い内陸県であるのが不思議。
長野: ×,岐阜: ?,山梨: ×,静岡: ◎,愛知: ○
・・・『日本水草図鑑』の分布図では,長野と岐阜?に “点” (プロット)がある。
そういうこともあるかもしれない。但し,詳細な『長野県植物誌』には記載なし。
滋賀: ×,三重: ●,京都: ●,奈良: ×,和歌山: ◎,大阪: ×,兵庫: ×
・・・京都府は現状不明,三重県は「生育地点数は2」,和歌山県は1地点で
1996年の標本。大阪府はヒメハリイで絶滅。
鳥取: ◎,島根: ◎,岡山: ×,広島: ×,山口: ◎
・・・鳥取県は米子市の粟島干拓地。島根県は隠岐島のみ,男池(ラグーン)と
重栖湾の休耕田。山口県は『植物誌(岡国夫 1972)』にはないが,
『植物目録 2000』で「ごく稀」。
徳島: ×,香川: ×,愛媛: ×,高知: ×
・・・分布域に「四国」を含めている文献もあるが,大いに疑問。
福岡: ▲,佐賀: ×,長崎: △,大分: ×,熊本: ×,宮崎: ×,鹿児島: ▲,
沖縄: ×
・・・ 福岡県で現状確認されているのは1ヶ所(10×10m)のみ。長崎県は大村湾
の記録。鹿児島県は種子島と思われる。
【付記 2019.7.8】
「・・・クロハリイは母種ヒメハリイに比べ国内での分布は南に偏る傾向がある.・・・」
『近畿地方におけるヒメハリイとクロハリイ(カヤツリグサ科)の分布』 (堀内洋 2005)から引用。
E. kamtschatica の “和名” をクロハリイとしている文献もある。
全国的な希産種と思われたので分布を調べてみた。ひと言で言えば,分布の中心
は “東海地方以東~北海道” 。西日本の記録は無きに等しい。
● : レッドリスト種
◎ : 稀・少
○ : 記録がある
? : 不明
× : 記録なし(絶滅を含める)
(註) 記録がヒメハリイ E. kamtschatica のみの場合は,それぞれ▲,△とした。
北海道: ○
青森: ◎,秋田: ●,山形: △,岩手: △,宮城: ○,福島: ◎
・・・分布が北に偏るが,東北地方にも多いわけではない。青森・山形・福島県
では “稀” となっていた。産地が多く挙がっていたのは,北海道と宮城県のみ。
新潟: ○,富山: ×,石川: ▲,福井: ▲
・・・新潟県は佐渡の標本。石川県:Ⅰ類,福井県:Ⅱ類。
群馬: ◎,栃木: ◎,茨城: ◎,千葉: ●,東京: ×,埼玉: ×,神奈川: ×
・・・東京都・神奈川県は絶滅。栃木県は「移入種?」となっている。群馬県同様,
海の無い内陸県であるのが不思議。
長野: ×,岐阜: ?,山梨: ×,静岡: ◎,愛知: ○
・・・『日本水草図鑑』の分布図では,長野と岐阜?に “点” (プロット)がある。
そういうこともあるかもしれない。但し,詳細な『長野県植物誌』には記載なし。
滋賀: ×,三重: ●,京都: ●,奈良: ×,和歌山: ◎,大阪: ×,兵庫: ×
・・・京都府は現状不明,三重県は「生育地点数は2」,和歌山県は1地点で
1996年の標本。大阪府はヒメハリイで絶滅。
鳥取: ◎,島根: ◎,岡山: ×,広島: ×,山口: ◎
・・・鳥取県は米子市の粟島干拓地。島根県は隠岐島のみ,男池(ラグーン)と
重栖湾の休耕田。山口県は『植物誌(岡国夫 1972)』にはないが,
『植物目録 2000』で「ごく稀」。
徳島: ×,香川: ×,愛媛: ×,高知: ×
・・・分布域に「四国」を含めている文献もあるが,大いに疑問。
福岡: ▲,佐賀: ×,長崎: △,大分: ×,熊本: ×,宮崎: ×,鹿児島: ▲,
沖縄: ×
・・・ 福岡県で現状確認されているのは1ヶ所(10×10m)のみ。長崎県は大村湾
の記録。鹿児島県は種子島と思われる。
【付記 2019.7.8】
「・・・クロハリイは母種ヒメハリイに比べ国内での分布は南に偏る傾向がある.・・・」
『近畿地方におけるヒメハリイとクロハリイ(カヤツリグサ科)の分布』 (堀内洋 2005)から引用。