タマシケシダ Deparia japonica × D. pseudoconilii
西ノ島の焼火山頂,NHKのテレビ塔付近(alt. 452m)。薄暗い照葉林下に,20株ほどのまばらな群落があった。
フモトシケシダ D. pseudoconilii 発見!と喜んで持帰ったのだがガックリ。包膜はあるが,ぺしゃんこで胞子嚢がほとんどできていない。わずかに飛んでいる胞子を検鏡したら,でたらめだった。しかし,そんなに失望しなくてもよいような気もする。親が珍しいものなら,その子はなお珍しいと言えなくもない。親を発見できる希望も出て来たし。
(1) 大きさがはっきり “小型” なので, “大型” は関わっていないと仮定する。
(2) “中型 × 中型” のサツマシケシダとは,大きさがまるで違うし葉面の毛も目立ちすぎる。
(3) “小型 × 小型” のホソバフモトシケシダは,「葉の概形や羽片の形はホソバシケシダに似ている…」(芹沢俊介 1973)ので違う。葉面は三角形で下ほど幅広く,羽片も長くて鋭頭。全然似ていない。
(4) “中型 × 小型” の可能性のみが残るが,小型種はフモトシケシダであると判断する。
(5) その理由:
(a) 最下羽片が一番長く,例外なく下へ垂れる。
(b) 葉身に多細胞毛が目立つ。ホソバシケシダだと “無毛 × 無毛” になっておかしい。
(c) 葉柄が紫褐色を帯びる。
(6) 中型の相手はナチシケシダか?雑種の情報が少なく,判断の基準は若時の包膜の形くらいしか考えられない。包膜の辺縁が内曲してナチシケシダ的ではないので,取りあえず否定しておく。両種の混生地に行って,(必ずできる)雑種を探し出すという方法もあるが,隠岐にはフモトシケシダの記録がない。
(7) タマシケシダ = シケシダ × フモトシケシダの原記載は(芹沢俊介 1973)次のようになっていて,この説明によく一致する。タマは東京の多摩市。
「シケシダとフモトシケシダの雑種と推定される。前者に比べ羽片は広い角度でつき,葉に多細胞毛が多く,後者に比べ多細胞毛が少なく,葉の二形性はあまり顕著ではない。オオホソバシケシダからは,多細胞毛が多く,葉柄はやや紫褐色を帯びる事などで区別される。」
※ なお,フモトシケシダの変種コヒロハシケシダ var. subdeltoidofrons は,“茨城県~静岡県東部” 固有ということで考慮に入れてない。
【 追 記 】 2016.12.30
タマシケシダではないという結論になった。同定は国立科学博物館の
海老原淳博士。正しくは,
セイタカフモトシケシダ
Deparia dimorphophylla x D. pseudoconilii var. pseudoconilii
フモトシケシダ D. pseudoconilii 発見!と喜んで持帰ったのだがガックリ。包膜はあるが,ぺしゃんこで胞子嚢がほとんどできていない。わずかに飛んでいる胞子を検鏡したら,でたらめだった。しかし,そんなに失望しなくてもよいような気もする。親が珍しいものなら,その子はなお珍しいと言えなくもない。親を発見できる希望も出て来たし。
(1) 大きさがはっきり “小型” なので, “大型” は関わっていないと仮定する。
(2) “中型 × 中型” のサツマシケシダとは,大きさがまるで違うし葉面の毛も目立ちすぎる。
(3) “小型 × 小型” のホソバフモトシケシダは,「葉の概形や羽片の形はホソバシケシダに似ている…」(芹沢俊介 1973)ので違う。葉面は三角形で下ほど幅広く,羽片も長くて鋭頭。全然似ていない。
(4) “中型 × 小型” の可能性のみが残るが,小型種はフモトシケシダであると判断する。
(5) その理由:
(a) 最下羽片が一番長く,例外なく下へ垂れる。
(b) 葉身に多細胞毛が目立つ。ホソバシケシダだと “無毛 × 無毛” になっておかしい。
(c) 葉柄が紫褐色を帯びる。
(6) 中型の相手はナチシケシダか?雑種の情報が少なく,判断の基準は若時の包膜の形くらいしか考えられない。包膜の辺縁が内曲してナチシケシダ的ではないので,取りあえず否定しておく。両種の混生地に行って,(必ずできる)雑種を探し出すという方法もあるが,隠岐にはフモトシケシダの記録がない。
(7) タマシケシダ = シケシダ × フモトシケシダの原記載は(芹沢俊介 1973)次のようになっていて,この説明によく一致する。タマは東京の多摩市。
「シケシダとフモトシケシダの雑種と推定される。前者に比べ羽片は広い角度でつき,葉に多細胞毛が多く,後者に比べ多細胞毛が少なく,葉の二形性はあまり顕著ではない。オオホソバシケシダからは,多細胞毛が多く,葉柄はやや紫褐色を帯びる事などで区別される。」
※ なお,フモトシケシダの変種コヒロハシケシダ var. subdeltoidofrons は,“茨城県~静岡県東部” 固有ということで考慮に入れてない。
【 追 記 】 2016.12.30
タマシケシダではないという結論になった。同定は国立科学博物館の
海老原淳博士。正しくは,
セイタカフモトシケシダ
Deparia dimorphophylla x D. pseudoconilii var. pseudoconilii