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 帰化種 ホウキギク vs. ヒロハホウキギク

以下は過去(2011年)に隠岐の植物仲間に送ったメールからの引用。
その後の新情報はチェックしていない。

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 K さん

 ・・・ (略) ・・・
私の方はホウキギク類に決着をつけました。自分用のメモなら,何もここまで詳しく書いておく必要はないのですが,誰かに教えたいという気持がありました。ネット上で見ると結構悩んでいる人が多いようです。

考えてみると,皆市の道路際できれいなピンクのヒロハホウキギクに目を止めたことが遠因です。その後,コミカンソウを探しに溜池に行って,ホウキギクを持ち帰ったことから始まりました。
 ・・・ (略) ・・・

 【ヒロハホウキギク】

文献だけの時は「これは相当に厄介,分かりそうにない」などと思っていたが,実物を2-3日見て回って「なんだ,そうでもないぞ」という気になった。多少離れた所からでも,一目見れば何とかなる。

オオホウキギクという種もあるが,隠岐に入っている可能性は低い。まず,ホウキギクとヒロハホウキギクの区別を目指せばよい。この2種は普通に見られる。ただし圧倒的に多いのはヒロハホウキギクの方だ。

            ※ ホウキギク ===> ヒロハホウキギク
(1) 取り敢えず「花の色」
  純白 ===> 淡いピンク

 ※ これは100%ではないかもしれないが,9割以上は大丈夫だと思う。ホウキギクの舌状花は「まれに淡紫色」ということだが,まだ見たことがない。ただ,開花中は白だが,花後に舌状花が青紫を帯びる傾向はある(特に花弁裏面)。一方,ヒロハホウキギクの方は濃淡はあるとはいえ,はっきりピンク(ごく稀に白)。

(2) 花後(花が咲き終ってしぼんだ後)の舌状花の花弁
  直立,冠毛に埋もれてほとんど見えない。
   ===> 外側へ反って巻き込み,よく目立つ。

 ※ あまり知られていないようだが,これがヒロハホウキギクを決定づける,最も確実で分かり易い特徴である。しぼむとピンクも濃さを増す。ここを見れば同定終りと言ってよい。

(3) 花後の冠毛の状態。
  直ぐに伸びて総苞の外へ突き出す。白く盛り上がってよく目立つ。
   ===> 直ぐには伸びず,総苞に包まれて外からは見えない状態が長く
       
  続く。

 ※ これも例外のない明瞭な特徴。花後の状態は
 「白く盛り上がった冠毛の束 vs. クルクル巻き返ったピンクの花弁」
が対照的。この事を知ると,同定は拍子抜けするほど簡単。花数が多く,完熟(毛の球)までの期間が長いので,観察も楽だ。この時期のホウキギクはオオアレチノギクを思わせる。

その他にも色々な差異が言われているが,変化があって確実ではない。例えば,葉の広さ・形などは考えない方がよいかもしれない。葉の基部が茎を抱くかどうかも,大きな差でもない上に観察が面倒。

ただ,
 「ホウキギク:せいぜい40° vs. ヒロハホウキギク:60°以上」
という枝の開き方の差は,遠くから見る時に役立つ。確かにこのような差があって面白いが,はっきりしないこともあって万能ではない。比較は,茎の上部の若い部分が見やすい。

更に言えば,
 「ホウキギク:花は小さく,総苞は長くほっそり,主に水辺。
   vs. ヒロハホウキギク:花は大きめで(最大花径9mm),総苞は短くて
     ふくらむ,乾燥地にも多い」
という差がある。しかし,同定上は考慮しなくてよいだろう。何よりも,(1) ~(3) である。


次に気を付けた方がよいのが,雑種ムラサキホウキギク(ホウキギク×ヒロハホウキギク)かもしれない。両種が混生している場所では,頻度は少ないとはいえ出来ているかもしれない。これについての情報は文献(*3)しか知らないが,「舌状花は薄紫色」であるという。
「白とピンクが交雑して紫」,変なようだがホウキギクには確かに紫のDNAがありそう。
他の形質は概ね両者の中間で,決定的な特徴は「痩果がすべて不稔」であることだという。

痩果が未成熟でこの事は確認できなかったが,
 ① 舌状花がはっきりと青紫,
 ② 舌状部は外側へ巻き込み,
 ③ 冠毛は明らかに突き出す,
ものを1個体だけ見た。これはどう考えても,どちらかの種にはできない。これが雑種でないとすれば,上の(1)~(3)の基準が全部崩れてしまう。今後の探索に期待したい。


オオホウキギクも一応気になる。特徴は,
 ① 頭花は大変大きく(舌片の長さ3.8mm程度,花径10mm以上),
 ② 花数が少なく疎らにつく,
 ③ 花柄が長く20mmを優に越えるものがある。

③ が最も重要な特徴のようで,ナガエホウキギクの別名もある。この種は心配する必要のないほど,感じの異なるものだと思う。つまり,見れば直ぐに分かりそう。


 [ウェブサイト]
前記 (2)と(3)にぴったりの写真を捜すのに苦労した。一体どこを写しているんだろうか。特徴のはっきりしない写真はもちろん,間違った同定も間々ある(信じたらエライことだ)。
ほとんどが「他のサイトの引き写し+素人の思い込み」なので,混乱が伝染し自家中毒(?)を起こしているようだ。
 ・・・ (略) ・・・  (閉鎖されたサイトも多くありURLは取り敢ず省略)

 [参考文献]
(*1):「原色日本帰化植物図鑑」  長田武正 (保育社, 1976)
(*2):「日本の帰化植物」  清水建美 編 (平凡社, 2003)
(*3):「日本国内のホウキギク類(Aster 属 Oxytripolium 節)の分類と帰化
    
 動態,種間雑種に関する研究」  榎本敬・深井いと代・福山利範
             ・武田和義(雑草研究 Vol. 46(3), 2001)
(*4):「神奈川県植物誌 2001」  神奈川県植物誌調査会
(*5):「ホウキギク類図入り検索表」  山口純一 (ウェブサイト, 2009)

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T.Tango

Author:T.Tango
 丹後 亜興 (隠岐郡海士町)
   tttt@tx.miracle.ne.jp
 
 フィールドは隠岐に限られますが植物歴40数年。ブログの目的は「植物を調べている隠岐の人」への情報提供です。しかし外部の方の参考にもなるよう,汎用性のある記述を心がけます。
 地元密着型の軽めの記事(日記)も,「隠岐版」と断って混ぜることにします。
 質問や地元の植物ニュースは歓迎です。

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