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 アカソ Boehmeria silvestrii

メヤブマオ B. platanifollia との違いを,今調べ中。もちろん,普通は(典型的な個体)一目で直ぐ判る。メヤブマオは大きくて強壮,茎は太く木質化して半分 “木” 。一方アカソは,弱々しく柔らかい “草” で,高さも葉の大きさもメヤブマオの半分くらいである。言わば “草と木” の違い。

しかしながら,メヤブマオは変化の激しい種で,しばしばヤブマオ B. japonica との区別もできなくなる。この辺のことはまだ自信がなく,自分がメヤブマオとしている大形なものには,ヤブマオも含まれているかもしれない。

いずれにしても,アカソに限りなく近い “メヤブマオ” が現れた時が問題になる。どうもそのような個体が混じっているような気がする。逆に,メヤブマオに近い “アカソ” というのはないと思うが。

ぎりぎり一杯,最終的な判定法は?

(1) 雌花の花被筒        (大井次三郎 1978,保育社・平凡社図鑑も同一)
 ・ アカソ ------- 全面に微毛がある。
 ・ メヤブマオ --- 全面に斜上する短毛があり,上方の毛は下方よりも明かに長い。

(2) 葉の裏面              (矢原徹一 1988)
 ・ アカソ --------- まばらに短毛がある。
 ・ メヤブマオ ----- 短毛が多い。

(3) 花序の軸              (城川四郎 2001)
 ・ アカソ -------- 毛は密生しない。
 ・ メヤブマオ ---- 毛が密生する。

※ (1) 果実(痩果の宿存果皮)の毛,この切り分け方は定番であるがアカソの果実はまだ見たことがない(現在栽培中だが未熟)。メヤブマオの果実については,昨年愚かにもアカソだと思い込んで持帰った標本がある。果実の “上部” の毛は,毛と言うより “刺(とげ)” の感じで長くて荒い。
※ (2) 葉裏の毛の多少,まだ観察数が少ないが有意の差が認められる。葉先の3尖裂の深さと毛の多少が,連動しているようにも感じた。
※ (3) 花序軸の毛。「密生しない・する」は “感じ” の問題とも言えるが, 実際に見比べると納得できる差がある。花がついていれば有力な判定法である。ただしルーペはあった方がよい。

(a) 言うまでもなく,アカソの第一の特徴は,葉先が深く3裂(欠刻状)することである。葉の中ほどまで切れ込み,中央裂片が細長くて基部が狭くなっていれば,まず間違いはない。もちろん,一株についている全部の葉がことごとく3中裂するという意味ではない。加えて留意すべきは,メヤブマオもしばしば葉先が3裂することである。アカソとは欠刻の深さと形が異なるとはいえ。

(b) また,花序の軸や茎が多少とも紅味を帯びることも,目につく特徴である。葉柄のことではないので注意。葉柄はメヤブマオも紅いのが普通。

(a)と(b) もまだ観察不十分。 “常に必ず” そうであるかは,保証の限りでない。何しろ隠岐には,アカソも “アカソ風の” メヤブマオも少な過ぎる。アカソに至っては,焼火山(東側中腹)一ヶ所でしか出会っていない。


 【追記 2013.7.9】
まだ花の時期ではないので早過ぎるのだが,アカソの自生地に行ってみた(花序が育つのは8月中旬?)。メヤブマオの群落に混生して,わずか30株ほどがある。ここのメヤブマオは小柄でなよなよ(草食系),アカソと同じ姿で区別ができない。

しかしながら,葉の切れ込み方には両者で明瞭な違いがあった。数多く丁寧に見たのだが,綺麗に2つに別れ曖昧さが微塵もなかった。メヤブマオの方は3裂したりしなかったり変化があるが,アカソは全ての株の「全部の葉がことごとく3中裂」,その形も一様で例外はなかった。深くえぐれるように3裂し,中央裂片の基部が “細くくびれ” ,先端は尾状に尖る(亀の尾)。まるで中央の裂片1枚が独立しているような印象がある。

これは予想外の結果だった。過去2回(2シーズン)の観察では,こんなにはっきりと分れてはいなかったような気がする。この状態なら「アカソに “限りなく” 近いメヤブマオ」などはあり得ない。葉先の分裂の仕方だけでアカソだと確定できてしまう。このアカソ型の3裂はあまりにも特異で疑う余地はないのだが,念の為に葉裏の毛の多少で “裏を取った” 。

過去2回の観察は何だったろうか?そんなにいい加減だったとも思えないのだが…。あるいは,今大きく育っている葉(春葉)ではそう言えるが,夏以降に出る葉(秋葉?)では事情が違うのであろうか?しかしそれも考えにくい。

とは言え,文献にはアカソも結構変化があると書かかれている。隠岐の,あるいは一産地の,ものに限っての現象かもしれない。

 【追記 2015.9.5】
アカソとメヤブマオ,普通にあるメヤブマオを「アカソ?」などと思うことはあり得ない。大きさや葉質がまるで違う。ただ稀にだが,アカソにそっくりのメヤブマオが出現することがある。何故かそういうタイプのメヤブマオは群生しない・・・。

前記(1)~(3)と(a)~(b)の差があるが,今なら(8~9月)長い紐状の花序が観察できる(雌花序)。

・アカソ ----------- 糸状で細い。雌花の集団は互いに離れまばら。
・メヤブマオ ------ 紐状で太い(径8mm以上)。雌花の集団は密に接する。

以上の差は一目で分かる。以下は,判定基準(3)の補完。

(3) 花序の軸
 ・ アカソ -------- 毛は密生しない。毛は斜上
 ・ メヤブマオ ---- 毛が密生する。毛は開出

雌花序

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T.Tango

Author:T.Tango
 丹後 亜興 (隠岐郡海士町)
   tttt@tx.miracle.ne.jp
 
 フィールドは隠岐に限られますが植物歴40数年。ブログの目的は「植物を調べている隠岐の人」への情報提供です。しかし外部の方の参考にもなるよう,汎用性のある記述を心がけます。
 地元密着型の軽めの記事(日記)も,「隠岐版」と断って混ぜることにします。
 質問や地元の植物ニュースは歓迎です。

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