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ヒロナガバヤブマオ Boehmeria sieboldiana var. ovata Satake

ナガバヤブマオ var. sieboldiana の葉は,長楕円状卵形~広披針形で,長さ:10-20cm,幅:4-10cm。和名通り葉が “細長い” のが,何よりの特徴である。

ところが本品は,長さ 20cm × 幅 20cmで幅が 2倍。円形と言ってもよいほど極端な広卵形である。最初目にした時はニオウヤブマオ B. holosericea ?と思ったが,やがて徐々にナガバヤブマオらしく見えて来た。何となく “卵形” が感じられるし,葉の表面にはっきり光沢があった。

大きさの揃った鋭い単鋸歯が片側に 20個ずつ,葉頂にはナガバヤブマオの特徴の一つ,細い線状の尻尾もついている。決定的なのは葉や葉柄に “毛がない” こと。これで,ややこしい他の諸々をすべて排除できるだろう。

“福岡県産ヤブマオ属の種類と変更” (矢原徹一 1974)に,次のくだりがある。
「ヒロナガバヤブマオは広葉品である。タイプ標本はそれほど著しいものではないが,野外ではより広いものも見られる。著しいものについては品種として区別してもよいだろう。」

ナガバヤブマオの最も大きな数値は「発育のよい株中部の葉(葉身)は長さ約25cm,幅約13cm」(神奈川県植物誌 2001)で随分大きい。それでも「13cm → 20cm」は大差だし,縦横比がまるでおかしい。

手持の図鑑類を見るが,本品が載っていたのは唯一,『日本草本植物総検索誌(杉本順一)』だけだった。無視されたか,あるいはいつの間にか忘れられたか?インターネットで検索しても一件もヒットしない!

地方植物誌を数県当ってみたが挙っていない。取りあえず判ったのは,山形・新潟・福島・茨城(稀)・長崎(対馬)に記録があったらしいということ。地方植物誌がこの “巨大な葉” を無視しそうにない。あるいは稀なものなのだろうか。島根県産ナガバヤブマオの標本画像を 9点見たが(杉村喜則氏採集),全て普通の細長い葉だった。他の地域のことが気になる。

場所は焼火山の東側山麓の林道沿いで(海抜 80m),メヤブマオ B. platanifolia が並んである環境。数メートルおきに 4-5株はあった。中間型(小形で長めの葉)も見られず,そばには通常のナガバヤブマオもない。一時的な奇形ではなくちゃんと繁殖しているようだ。

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T.Tango

Author:T.Tango
 丹後 亜興 (隠岐郡海士町)
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 フィールドは隠岐に限られますが植物歴40数年。ブログの目的は「植物を調べている隠岐の人」への情報提供です。しかし外部の方の参考にもなるよう,汎用性のある記述を心がけます。
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