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コセイタカシケシダ

Deparia conilii × D. dimorphophylla (ホソバシケシダ × セイタカシケシダ)

焼火山の登頂路,標高400mの辺りで大きな集団に出会った(2012.10.29)。
以下特殊な話で,シケシダ類に詳しい人にしか意味がなさそう。単に個人用のメモとして残す。

最初はセイタカシケシダ D. domorphylla を発見!と喜んでいた。
 (1) 胞子葉は高く “直立” して,はっきりと二形。
 (2) 葉には毛が密生,裏面は肉眼でも白く見える。葉肉部分にも毛が出る。
 (3) 葉柄や葉軸の鱗片や毛も明か。
 (4) しばしば包膜にも毛が生え,若い時には縁が内曲する。

どう見てもセイタカシケシダである。ただ,「シケシダ類で最大,シケシダよりはるかに大きい」という点に引っかかった。「大きい」という感じがあまりしない。胞子葉は確かにシケシダより高く聳え立ち,似ても似つかない姿。だけどセイタカシケシダとすると幅が足りないような…。特に栄養葉が小さく,二形が極端であることも気になる。

どの検索表をたどってみても疑う余地はない,だけどどうもスッキリしない。この鬱陶しい状況が続いていたが,ふと雑種の可能性に気付いた。実は,「雑種ではないかをまず確かめる」のが,シケシダ同定の常道なのだが。

胞子を検鏡してみたら,大きさも形もバラバラで不整。雑種に違いない。シケシダ類は難解・微妙である上に,雑種の情報はないに等しい。ほとんど当てものに近いが次の順序で考えた。

 (1) 多毛なことから,片一方の親はセイタカシケシダかムグゲシケシダである。
 (2) ムクゲシケシダは稀産種だし,包膜が平坦なので否定したい。
 (3) セイタカシケシダの雑種は5組記載されているが,不倫相手は誰なのか?
 (4) 怪しいのは,ホソバシケシダ・シケシダ・ナチシケシダの3種に限られる。
 (5) シケシダが相手の場合(ムサシシケシダ)は,毛が少なく葉が幅広いらしいので除く。
 (6) ナチシケシダが相手の場合(セイタカナチシケシダ),包膜はナチシケシダに似て平坦だという。
 (7) ホソバシケシダを選んだ理由は,以下の解説に惹かれたから。

「ホソバシケシダに比べ葉はずっと大形で多細胞毛や鱗片が多く,セイタカシケシダに比べ小形で,春先の裸葉もあまり幅広くない。」(芹沢俊介 1973)。

初めて出会うのが雑種とは不運だった。雑種オオサトメシダの次にその親サトメシダを見付けた,という先例はあるが,シケシダ類の場合近くに両親があるとは限らないらしい。それでも来年は,付近を捜しまわることにしよう。

            [⇒ 追記]

テーマ:自然科学 - ジャンル:学問・文化・芸術

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T.Tango

Author:T.Tango
 丹後 亜興 (隠岐郡海士町)
   tttt@tx.miracle.ne.jp
 
 フィールドは隠岐に限られますが植物歴40数年。ブログの目的は「植物を調べている隠岐の人」への情報提供です。しかし外部の方の参考にもなるよう,汎用性のある記述を心がけます。
 地元密着型の軽めの記事(日記)も,「隠岐版」と断って混ぜることにします。
 質問や地元の植物ニュースは歓迎です。

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