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 ※※※ 2015年の収穫 ※※※

### 隠岐版 ###

歳を取るごとにネタがなくなって来て,楽になるだろうと思っていたがそうでもない。昔に比べ植物の理解は進んでいるのだが,それにつれてまた新たな問題も出て来る。例えば以下でも, “☆” 付きのものは分類上の問題を抱えている。同定に悩むのはかまわないが,分類そのものが不明瞭だと素人の手に余る。

 〔島根県初〕 ------ 県下の記録なし
テンリュウカナワラビ  (海士 保々見)
  オオカナワラビ×コバノカナワラビの雑種。同定は国立科学博物館。和名は
  天竜川(源流は長野県諏訪湖)に因む。

☆ センダイスゲモドキ  (西ノ島 別府)
  「YList」にはナキリスゲの品種となっているが,認めない人もいる。雑種ナキリ
  スゲ×センダイスゲとの見解もある。ナキリスゲとは見かけがはっきり違うので
  続けての検討が必要。

 〔隠岐初〕 ------ 隠岐の記録なし
ヨシノヤナギ  (海士 中里)
  溜池内に2本のみ。同定が難しいが他の可能性は考えられない。
  本土側(西日本)の現物を見てみたい。

ムクノキ  (都万 油井の池)
  幼木も含め数株確認,まだあると思われる。隠岐では植栽されたムクを見たこと
  がない。唯一の例外は,西ノ島町宇賀の済神社旧社地(星神島対岸)の大木。


 〔初確認〕 ------ 隠岐産の情報はあるが未見だった
ミツバツチグリ  (西郷 上西)
  普通種とされ隠岐の記録もあるのだが,今頃になって初めて出会った。
  不思議でならない。よくある「昔は普通,今は絶滅危惧」の一例だろうか?

☆ タマムラサキ  (海士 知々井岬,西ノ島 耳々浦)
  今まで地元(島根県)では知られていなかった。ヤマラッキョウより多いかも
  しれない。両者の中間型もある。

ハマナス  (西郷 大久)
  自生のものを現地で見たのは初めて。
ナガバヤブソテツ  (海士,西郷,都万)
  広く見られるが個体数は多くない。目視ではオニヤブソテツとの見分けが
  難しい。海士と島後で7-8ヶ所確認。

ヤマヤブソテツ  (都万 油井,西郷 飯田)
  名前はよく知られているが実際に確認したのは初めて。油井のものはやや
  変わっているが同定は国立科学博物館。飯田に杉林内の群生地があった。


 〔再確認〕 ------ 現状不明だった
レンゲツツジ  (西郷 上西・津井)
  花の咲いているものは少ないが,幼木が無数にある。
☆ オオズミ  (海士 知々井岬)
  場所が分からなくなって探していた開花結実する大きな木を再発見。西日本では
  ほとんど知られていない。現在リンゴ属の専門家が接木をして研究中。

イヌノハナヒゲ  (西郷 津井)
  実に30年振りの出会い,確実な同定もできた。2株だけ残っている。
セイタカハリイ  (都万 那久,西ノ島 美田)
  都万のロンザの池と,美田ダム奥の放棄された溜池(過去の唯一の記録)。両所
  とも生育状態は良好(現在のところ)。


〔同定変更〕 ------ 今までの同定を修正
ナンゴクアオキ  (←アオキ)
  かつてはアオキとされていたが隠岐のものは全てこれ。北限自生地で東限にも
  近い。アオキは,松江市・鳥取県・岡山県・徳島県を通るライン以東に分布する。

☆ ミアケザサ  (←チシマザサ)
  西ノ島町高崎山をタイプ産地として記載されたコバノネマガリササ。現在は
  チシマザサのシノニムに落とされている。ところが今年,チシマザサではないこと
  に気付いて仰天!ササ類を研究中の支倉千賀子氏(神奈川県)による同定は
  ミアケザサ Sasa miakeana 。この種名では島根県新産ということになる。

  
 〔新産地〕 ------ 稀産種の新産地
ホナガクマヤナギ  (西郷 上西)
ワケノカワヤナギ  (海士 御波)
タニウツギ  (布施 中谷)
キツネアザミ  (西郷 岬町)
ヒカゲミツバ  (西ノ島 高崎山)
ナンテンハギ  (都万 那久)
マルミノヤマゴボウ  (西郷 中村川)
ヤマトミクリ  (西郷 上西)
ウキヤガラ  (西郷 油井の池)
ホナガヒメゴウソ  (西郷 平,都万 末路川)
ヤマイ  (海士 知々井岬)
マシカクイ  (西郷 津井,西ノ島 波止)
☆ オオハリイ  (西郷 今津・上西)
センダイスゲ  (西ノ島 国賀)
ムツオレグサ  (海士 西)
カモノハシ  (西ノ島 波止)

 〔帰化〕 ------ 初確認
マルバアメリカアサガオ  (西ノ島 国賀)
キンゴジカ  (西ノ島 国賀)
ウラジロアカザ  (西郷 八尾川)
ヘラバヒメジョオン  (布施 飯美)
チャボウシノシッペイ  (海士 中里・菱浦)
ヒメイワダレソウ  (海士 東)

〔再同定〕 ------ 同定の精密化
☆ エゾアジサイ
  次種と共に全国の産地のDNA解析が必要。
☆ ヤマアジサイ
☆ ホソバシュロソウ
  確実な産地は西ノ島の高崎山だけと思われる。
☆ ヤマラッキョウ  (海士 知々井岬,西ノ島 耳々浦・大山)
  ごく稀で驚く。タマムラサキとその中間型の方が多いようだ。
☆ オキノアブラギク
  「YList」ではシマカンギクのシノニム。別種とは言えないまでも,シマカンギク
  とは有意の差がありそうに思われる(頭花の大きさ)。

☆ オオバスギカズラ
  日本ではキジカクシのシノニムとされ忘れ去られてしまっている。韓国と
  九州北部から北陸地方までの日本海側に分布する(と思う)。韓国の学者
  グループがDNA解析により,両者は別種であるという結果を最近出した。

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T.Tango

Author:T.Tango
 丹後 亜興 (隠岐郡海士町)
   tttt@tx.miracle.ne.jp
 
 フィールドは隠岐に限られますが植物歴40数年。ブログの目的は「植物を調べている隠岐の人」への情報提供です。しかし外部の方の参考にもなるよう,汎用性のある記述を心がけます。
 地元密着型の軽めの記事(日記)も,「隠岐版」と断って混ぜることにします。
 質問や地元の植物ニュースは歓迎です。

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